“My English”
髙井 收 (支部長・小樽商科大学)
2012年3月28日から30日まで米国ペンシルベニア州のフィラデルフィアで開かれましたTESOL Conventionに参加してまいりました。私の目を引いたのは2日目Plenary SessionにおけるUniversity of Tübingen のDr. Kurt Kohnによる「The “My English” Condition: SLA as individual and Social Construction」というタイトルでした。
日々、外国語である英語を教えていて常に感じることはアメリカ英語であろうが、イギリス英語であろうが、ロール・モデルとしてネーティブの英語を紹介している限り、学習者の方でも基準はネーティブの英語に置かれることになります。現在、国際語としての英語教育が注目されてきて、多様な英語に対しても大変寛容になってきましたが、基準がネーティブの英語である限り、その寛容度は認めるが、「正しい」英語として認識されてはいないのではないかと常に感じております。
今回のPlenary Speechに出てきた“My English”とは学習者が多様な英語をベースにして「自分自身のバージョンを作る」ことで基準は常に「自分自身の英語 “My English”」にあり、ネーティブの英語はひとつのモデルで基準では無いことをもっと認識すべきあるということでしょう。そのような意味からも、常日頃、多様な英語に触れているというのも大切なことかもしれません。
私自身、英語を外国語として学び、今、その英語を使って教えている訳ですが、ここ10年余り留学生を受け入れて「異文化コミュニケーション」をテーマとした授業を受けもってきました。様々な母語を背景とした留学生を迎えて英語で授業をしてみると“My English”と言うことが認識されてくるように思います。さて、そのような観点から“My English”を見てみますと、私の英語は「East Asian standard English」と 言うことになるのでしょうか。
最後になりますが、支部長としてこの2年間をなんとか無事に過ごすことができましたのも、ひとえに副支部長の新井先生を始め、北海道支部の役員の方々および、会員の皆様のご協力の賜物だと感謝しております。2012年の新しい年度が始まりますが、新支部長の河合先生を先頭に、新役員の皆様、これからのJACET北海道支部を魅力ある学会活動とさらなる発展にお導き下さいますようお願いいたします。